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3.借入金と毎月の返済額

最終更新: 2020年8月6日

不動産を購入する場合には、金融機関から借入をすることが多いと思います。マンションを初めて購入する場合など、借りた金額に対して、一体、毎月の元利金返済額がどの程度になるのかは、気になるところです。ネットで調べると自動計算できるHPもありますが、この計算は、極めてシンプルなものです。中学生の時に習った数列ですが、少し頭の体操です。

まず、その計算式を導くための基本となる公式を示します。これは、例えば、毎月同じ金額Cを生み出す投資商品があった場合に、その投資商品の現在価値を計算するものです。

    期待利回り:r(%)

    回数:n回(1年毎にC円をn回生み出すという前提です。)

    毎回のキャッシュフロー:C(円)

この式を見ると、分かりますが、r%という期待利回りを設定する必要があります。期待利回りがr%の場合の現在価値と言ってもよいかもしれません。

さて、この公式は、期待利回りがr%の時に、m年後のC円の現在価値を求める式となる、

から導かれますが、1/(1+r)と記載すると面倒ですので、これをkとします。そうすると、現在価値Pは、まず、次式で表現されることは理解できると思います。



この現在価値Pは、中学校で習う等比数列の和を導く方法と同様に簡単に導かれるものです。尚、これは、初項がC×kで公比がkの等比数列の和となっていますが、中学生の時には、全部の項数をnとして、最後の項は(n-1)乗となるするケースが一般的だったと記憶していますので、公式を記憶している方は、少し違和感があるかもしれません。

ここで、kに1/(1+r) を代入します。



これで、最初に示した公式が導かれることになります。金融機関からお金を借りる場合にも、この考え方と同じになるのです。お金を貸す側である金融機関から見れば、期待利回り=金利をいうことになり、現在価値が貸し出すお金になります。この公式を変形して、毎年金融機関に入金される金額Cを求めれば、良いのです。

実際には、毎月ですので、C/12が概ねの月々の返済額となります。尚、月々のへ再額をもっと正確に求めたい場合は、nを(12×n)回として、r%をr/12%にすれば、Cは、月々の返済額となります。ボーナスと毎月のへ返済額を計算する場合には、ボーナス返済と月々返済の割合を設定して計算すれば、求められます。ボーナス返済の場合には、nを(2×n)回として、r%をr/2%とすることが必要です。尚、端数計算等の関係で、微妙に実際の元利金返済額は異なりますが、ほとんど同じ金額になるはずです。

さて、ここでの計算は、所謂、元利均等返済という返済方法です。マンションの借入等、一般的には、この元利均等返済となります。言葉の通りですが、毎回の元金償還(借りたお金の返済)と支払金利(借入残高に発生する金利の支払い)の合計額が一定額で変動しないというものです。

次の表は、簡単なシミュレーション例です。マイホーム購入の際には、1.0%の住宅ローン特別控除があるため、この特例活用した場合の実質の元利金支払い額も表示しています。(2019年の消費税アップに伴うプラス3年間の特例については、未考慮です。)

これをグラフにすると次のようになります。


今時は、5%などという金利はありませんが、分かりやすいので、高めの金利に設定しております。よく言われることですが、返済当初は金利の支払額が大きく、返済があまり進まないことが分かります。

これに対して、元金均等返済という返済方法もあります。借り入れた元本を借入期間で除して、毎回同額の元本を返済するという返済方法になります。この場合、元本は、順調に返済されていき、また返済前期間中に支払う金利の合計額は小さくなりますが、当初の金利を合わせた元利金返済額が大きくなるため、これに耐えられるかどうかがポイントになります。上述シミュレーションと全く同上件の元金均等返済の場合のシミュレーション例を次に示します。



ちなみに、上記と同じ条件で、金利を1.0%とした場合の元利均等返済及び元金均等返済のグラフを次に示します。



元利金返済額大きく変わることが理解できます。マンションを含めた不動産の値段が高い状況になっているのは、この低金利にも一因があります。

収益不動産の取得のために融資を受けた場合には、住宅ローン特別控除は、もちろんありません。

自宅としてのマイホームを取得した場合には、家計の収支との相談が必要になりますが、投資用に収益不動産を取得した場合にも、重要な2つの指標がありますので、理解しておくことをお薦めします。

第一はDSCRと呼ばれるものです。先ほど、月々の元利金返済額について説明・計算しましたが、借入を行った場合の元利金返済額のことを、英語で、Debt Service(略称:DS)と言います。このDSに対して、毎月の元利金返済前のキャッシュフローが、どの程度になっているかを示す指標で、Debt Service Coverage Ratioと言います。毎月の元利金返済前のキャッシュフローをどう定義するかは、金融機関によっても若干異なりますが、税前キャッシュフローであるNOI(Net Operation Income)として考えて差し支えないと思います。

もし、不測の事態等が生じた場合に、毎月の元利金の返済にどの程度の余裕があるかを示す指標であり、1.3程度以上のDSCRを確保しておきたいところです。もちろん、この数値は高ければ高い方が好ましい訳ですが、不動産売買は相手もある話で、また、自己資金にも限度もあるため、最終的には、テナントの特性や契約内容等についても吟味し、どの程度のダウンサイドリスクがあるかを併せて検討しておくことが必要でしょう。

もう一つの指標はLTV(Loan to Value Ratio)です。名前の通り、借入額が不動産価値に対してどの程度の割合かを示す指標になります。

J-REIは、概ね50%程度のLTVの借入に収めているケースがほとんどです。他方、短期転売等を目指す不動産会社や投資家は、極力、このLTVを高くし、自己資金を圧縮した取引を行うケースが多いと考えられます。一般の個人投資家等が収益不動産を取得する場合に、鑑定評価書を取ることはあまりないかもしれませんが、DSCRが許す範囲であれば、極力、借入比率を高めたいと思うのが一般的かと思います。金融機関がどの程度の融資をしてくれるかは、金融機関次第でもあり、また、経済環境等にもよりますが、投資も目的や投資期間に応じて、DSCRや税金を支払った後のキャッシュフローの状況や自分自身の経済的余裕等を考慮して、適切な借入額を設定することが重要だと考えます。尚、初歩的なことではありますが、元本償還は経費ではないため、不動産投資を行った後、時間の経過とともに、金利支払いは小さくなり、結果的に、利益が大きくなるため、支払い税額が増えていくことにも留意して置くことが必要です。法人税や消費税を支払った後のCFがどの程度で推移していくかのシミュレーションもお忘れなきよう。

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